小論文の序論は200字で書く|問題提起の型とNG書き出し
監修:エクシオアカデミー 教務部
小論文の序論は、全体の字数の1〜1.5割、800字の課題であれば100〜150字前後、600字であれば80〜120字前後に収めるのが目安です。序論に入れる要素は「事実の提示」「問題提起(問い)」「論じる範囲の明示」の3つで足り、この段階で結論や意見を書き切る必要はありません。序論に時間をかけすぎて本論の根拠づけが薄くなる答案は、採点者の評価が伸び悩みます。この記事では、序論に何を書き、何を書かないかを、字数配分の表と注釈つき例文で具体的に示します。
小論文の序論は何字で書けばよいか
序論の役割は、これから何について、どういう問いを立てて論じるのかを採点者に短く示すことです。長く書くほど丁寧というわけではなく、序論が全体の3割近くを占める答案は、本論で根拠を積み上げる字数が足りなくなり、意見だけが先行した印象を与えます。
目安として、序論・本論・結論の配分は次のように考えます。
| 段落 | 内容 | 字数目安(800字の場合) | 割合 |
|---|---|---|---|
| 序論 | 事実の提示・問題提起・論じる範囲の明示 | 100〜150字 | 約15% |
| 本論1 | 問いに対する現状分析・要因の説明 | 250〜300字 | 約35% |
| 本論2 | 自分の立場と根拠(データ・具体例) | 250〜300字 | 約35% |
| 結論 | 序論の問いに対する応答のまとめ | 100〜120字 | 約15% |
序論の字数は課題文の有無や設問形式によって前後しますが、「短く、問いだけを立てる」という原則は変わりません。60分の試験全体の時間配分については、小論文の時間配分60分完全ガイドで構想時間の取り方を扱っていますので、あわせて確認しておくと書き出しに迷う時間そのものを減らせます。
序論の役割は「問題提起」であって「意見表明」ではない
序論でつまずく受験生の多くは、序論の時点で自分の意見を言い切ろうとします。しかし小論文で採点者が見ているのは、まず「なぜその現象が起きているのか」を説明する力であり、解決策や賛否の結論を最初に出す力ではありません。序論はその説明の入口として、答えの決まっていない問いを立てる場所です。
問題提起の型を作るときは、対象そのものと、それを説明するための視点を分けて考えると書きやすくなります。たとえば「地方の医師不足」という対象を扱う場合、それ自体は現象の名前にすぎず、序論で問うべきは「なぜ地方に医師が定着しないのか」という問いのほうです。対象を並べただけの序論は、関心を表明しているにとどまり、論じる範囲が定まりません。
この考え方は小論文に限らず、志望理由書で研究の問いを立てる場面でも共通しています。学部系統ごとに問いの立て方の傾向を知っておくと、序論で扱うテーマの選び方も安定しますので、学部系統別・小論文の頻出テーマと対策の方向性まとめもあわせて参考にしてください。
序論の構成テンプレ
序論を書くときは、次の3要素をこの順番で並べると、問題提起の輪郭がはっきりします。
| 要素 | 役割 | 字数目安(序論120字の場合) | 割合 |
|---|---|---|---|
| ①事実の提示 | 課題文・資料・社会状況の事実を1〜2文で示す | 40字前後 | 約33% |
| ②問題提起 | ①から生じる「なぜ」「どこまで」の問いを立てる | 50字前後 | 約42% |
| ③論じる範囲の明示 | どの立場・どの観点から論じるかを一文で示す | 30字前後 | 約25% |
①の事実は、課題文や資料が与えられている場合はそこから引用・要約する形で構いません。資料の数値をどう序論に取り込むかは、資料・グラフ読み取り型小論文の着眼点と数値の使い方で扱っている考え方がそのまま応用できます。②の問いは「〜だろうか」という疑問形にすると、以降の本論が答えを探す構成として自然につながります。③は「本稿では〜の観点から論じる」のように、論じる範囲を限定する一文です。ここを省くと、本論が話題ごとにぶれやすくなります。
注釈つき例文
小論文の序論は「だ・である」の常体で書きます。以下は「地方の人口減少と医療体制」というテーマで、800字の課題文型小論文を想定した序論の例です。
①厚生労働省の資料によれば、地方の医療圏では医師の絶対数だけでなく年齢構成の偏りも大きく、後継者不足が深刻化していると報告されている。②医師の絶対数を増やす施策が進められてきた一方で、なぜ地方への定着が進まないのかについては十分に説明されていないのではないかと考えた。③本稿では、医師個人の選択という観点よりも、地域の医療体制側の受け入れ条件という観点から、この問いについて論じる。
①が事実の提示、②が問題提起、③が論じる範囲の明示に対応しています。②の文末を「〜だろうか」ではなく「〜ではないかと考えた」としているのは、これが出典に基づく推測であって、断定できる事実ではないことを示すためです。断定と推測を文末で書き分けることは、序論に限らず小論文全体の信頼性に関わります。
やってはいけない書き出し6パターン
序論の書き出しには、形は整っているのに評価が下がるパターンがいくつかあります。
- 「私は〇〇について述べる」で始める:宣言だけで問いがなく、何を論じるのかが本論を読むまで分からない
- 辞書的な定義から入る(「〜とは、〜のことである」):定義の正しさを競う設問でない限り、思考が始まっていない印象を与える
- 序論で結論や賛否をすでに言い切る:本論が根拠づけの場ではなく、結論の繰り返しになりやすい
- 「近年、〜が問題となっている」だけで終える:紋切り型の一文で、この課題文・資料に固有の事実が示されていない
- 自分の体験や感想から書き始める:個人の経験だけでは、社会的な問いに接続する前に文字数を使い切ってしまう
- 課題文の一文をそのまま丸写しする:要約する力・自分の言葉に置き換える力が評価されず、独自性がないと判断されやすい
これらに共通するのは、序論の役割である「問いを立てる」作業を飛ばしていることです。定義や体験、紋切り型の一文で字数を埋めても、採点者はそこから受験生の思考過程を読み取れません。原稿用紙の使い方や表記のミスと違って、書き出しの型は減点基準として明示されにくい分、答案全体の印象を左右しやすい部分でもあります。表記面のミスについては小論文の原稿用紙ルールと減点されやすい表記ミス一覧で別途まとめています。
課題文型・資料型では書き出しの起点が変わる
課題文が与えられている場合、序論の①事実の提示は、課題文の要旨を自分の言葉で圧縮したものから始めます。課題文の主張をそのまま自分の主張として書き写すのではなく、「筆者は〜と述べているが、この主張は〜という条件のもとでのみ成り立つのではないか」のように、要約と問いを一体化させると、序論の段階で自分の視点が示せます。課題文の読解から論点をどう抽出するかは、課題文型小論文の解き方|読解から論点設定までで手順を詳しく扱っています。
一方、資料・グラフが与えられている場合は、資料の数値のうち序論で使うのは1つか2つに絞るのが原則です。複数の数値を序論で並べると、事実の提示に字数を使いすぎて問題提起にたどり着けません。もっとも目立つ変化や、他の受験生が見落としがちな数値を1つ選び、そこから「なぜこの変化が生じているのか」という問いにつなげる書き方が、序論全体を短くまとめるうえで有効です。
序論の型が身についても、本論で根拠を積み上げる練習が不足していると、序論だけ整って後半が失速する答案になりがちです。序論から結論までの一貫性を保つ練習量については、独学の小論文対策が伸びにくい3つの理由と、オンライン添削の活用法で、独学で見落としやすい点を整理していますので参考にしてください。
序論を書く手順と練習法
本番で序論に時間をかけすぎないためには、構想段階で問いの形をあらかじめ決めておく練習が有効です。
| 手順 | 所要時間の目安 | 練習法 |
|---|---|---|
| 1. 課題文・資料から事実を1〜2つ抜き出す | 3〜5分 | 抜き出した事実を10字程度で要約する練習を繰り返す |
| 2. 事実から「なぜ」の問いを1つ作る | 2〜3分 | 「なぜ〜だろうか」の形で問いを声に出して確認する |
| 3. 論じる範囲を一文で決める | 1〜2分 | 「〜の観点から論じる」の型に当てはめて書く |
| 4. 序論を120〜150字で書き切る | 3〜5分 | 時間を計り、字数オーバーを削る練習をする |
手順2と3を先に頭の中で決めてから書き始めると、序論の文章が長くなりすぎるのを防げます。序論の書き出しに時間を使いすぎて後半が時間切れになる答案は珍しくなく、この配分は小論文が書けない高校生の60分克服法で扱っている構想時間の考え方とも共通しています。
よくある質問
序論に自分の意見を書いてもよいですか
序論の段階で立場をすべて言い切る必要はありません。論じる範囲を示す一文の中で「〜という観点から論じる」程度に方向性を示すのは問題ありませんが、賛成・反対の結論そのものは本論以降で根拠とともに述べる方が、論証の流れとして自然です。
序論が長くなってしまいます。どこを削ればよいですか
多くの場合、削れるのは事実の提示の部分です。課題文や資料の内容を丁寧に説明しようとして事実提示が長くなりがちですが、序論での役割は要約であって再現ではありません。問題提起と論じる範囲の一文は残し、事実提示を1文に圧縮する練習が有効です。
志望理由書の書き出しにも同じ型は使えますか
問いを立ててから答えを組み立てるという考え方自体は共通していますが、志望理由書は研究計画の縮約版であり、問い・意義・自分で調べたこと・分からなかったこと・大学で学ぶ必然性という5要素で構成する点が小論文の序論とは異なります。志望理由書の書き出しに特化した型は志望理由書の書き出しの例でまとめています。
まとめ
- 序論は全体の1〜1.5割、800字なら100〜150字程度にとどめる
- 序論の役割は問題提起であり、事実の提示・問題提起・論じる範囲の明示の3要素で構成する
- 序論で結論や賛否を言い切らず、本論で根拠とともに述べる
- 定義の暗唱・体験談・紋切り型の一文から始めるNGパターンを避ける
- 課題文型は要約と問いの一体化、資料型は数値を絞ることが序論を短くまとめる鍵になる
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この記事の監修者
エクシオアカデミー 教務部
監修責任者:代表講師 髙久大輝
総合型選抜・学校推薦型選抜の指導を担当する教務部が、公開前に内容を確認したうえで掲載しています。年度で変わる入試情報は断定を避け、必ず大学公式の募集要項の確認をご案内しています。