面接『将来の夢』決まってない時の答え方と例文
監修:エクシオアカデミー 教務部
将来の夢を職業名で一つに決めていなくても、面接では減点されません。結論から言うと、回答は4パート構成で組み立て、配分は①現状の言明1割②大学で明らかにしたい問い3割③その問いにたどり着いた根拠3割④問いの先に開ける複数の進路3割、全体で200〜300字(1分回答なら300字前後)にまとめるのが基本形です。総合型選抜・学校推薦型選抜の面接が確認しているのは、職業が決まっているかどうかではなく、大学で何を学び、どんな問いを追いたいと考えているかという学修の方向性です。この記事では、その方向性を職業名に頼らずに言語化するための構成と、注釈つきの例文、避けるべき答え方を具体的に示します。
なぜ「決まっていない」と正直に言ってよいのか
そもそも「将来の夢」という質問は、多くの場合「大学で学びたいこと」や「志望理由」を別の角度から確認するために置かれています。面接官が本当に知りたいのは、職業という結論そのものではなく、その結論に至る過程で志願者がどんな社会の事象に関心を持ち、どこまで自分で調べ、何がまだ分からないままなのかという思考の筋道です。したがって、職業名を一つ挙げられないこと自体は評価を下げる要因にはなりません。むしろ、複数の職業や進路が視野に入っている状態を、大学で追いたい問いを軸に整理して説明できるかどうかが問われています。
この発想は、志望理由書を研究計画の縮約版として捉えるエクシオアカデミーの立場ともつながっています。志望理由書は、問いと、その意義と、自分で調べた範囲と、まだ明らかにできていないことと、その限界を埋めるために大学で何を学ぶかという5要素で組み立てるものです。将来の夢についても同じ発想が使えます。職業という結論ではなく、まだ調べきれていない部分がある問いを大学でどう深めたいかという形に置き換えれば、「決まっていない」という状態を、反省の言葉ではなく学びの入口として説明できます。
面接での回答テンプレート(構成と字数配分)
| パート | 話す内容 | 秒数の目安 | 割合 |
|---|---|---|---|
| ①現状の言明 | 職業として一つに絞ってはいないことを率直に述べる | 約5秒 | 10% |
| ②大学で明らかにしたい問い | 関心を持っている社会の事象や現象を、問いの形で述べる | 約15秒 | 30% |
| ③根拠 | その問いに関心を持ったきっかけと、自分で調べたことの範囲 | 約15秒 | 30% |
| ④問いの先にある進路 | その問いを学んだ先に開けている複数の進路や職業の候補 | 約15秒 | 30% |
1分回答であれば全体でおよそ300字が目安です。ここで大切なのは、①の「決まっていない」という言明に字数を使いすぎないことです。ここに時間を割きすぎると、思考停止の印象を与えてしまいます。むしろ②と③に字数の6割を残し、自分がどんな問いに関心を持ち、どこまで自分で調べたかという思考の過程を伝えることに重点を置いてください。これは大学面接の1分自己紹介や志望理由の回答にも共通する配分の考え方で、詳しい構成は大学面接の1分自己紹介|構成テンプレと例文・文字数目安でも解説しています。
注釈つき例文
面接では敬体で話します。以下は、地域の医療格差に関心を持つ架空の受験生を想定した回答例です。
①将来の職業を一つに決めているわけではありません。②ただ、地方の医療従事者の不足がなぜ解消されないのかという問いに関心を持っています。③高校生のとき、祖母が入院した際に近くの病院で専門の診療科が受けられず、離れた都市部まで通院する必要があったことがきっかけで、地域ごとの医師の偏在について調べました。県が公表している統計を見ると診療科ごとの医師数に地域差があることは分かりましたが、その差がなぜ埋まらないのかという制度的な要因についてはまだ調べきれていません。④〇〇大学△△学部でこの問いを学んだ先に、医療政策に関わる仕事や、地域医療の現場を支える仕事など、複数の進路を考えています。
①が現状の言明、②が大学で明らかにしたい問い、③がきっかけと自分で調べた範囲および調べきれていない部分、④が問いの先に開ける進路に対応しています。③で「調べきれていない」という限界を反省の言葉ではなく調べた事実の延長として述べている点が、この回答の軸になっています。
避けたい答え方とその理由
- 「まだ何も考えていません」とだけ答える:思考が止まっている印象を与え、大学で何を学びたいのかという方向性が伝わらなくなる
- 場当たり的に職業名だけを挙げる:志望理由書に書いた内容と整合しない場合、深掘り質問で矛盾が露呈し、その場で取り繕った答えだと判断されやすい
- 「なんでもいいので学びたい」という曖昧な言い方をする:問いが具体化されておらず、関心の表明にとどまっていて、大学で調べたい対象が見えてこない
- 「みんなの役に立ちたい」という抽象的な社会貢献だけで締める:個人の経験や調べた事実との接続がなく、感想文のように聞こえてしまう
- 解決策から話し始める:現象がなぜ生じているのかという説明より先に対策を語ると、まだ何も調べていないのに答えだけを持ってきたように見えてしまう
準備の手順と練習法
| ステップ | やること | 目安時間 |
|---|---|---|
| 1 | 志望理由書に書いた問いを見直し、将来の夢の回答と矛盾していないか確認する | 20分 |
| 2 | 一つの職業に絞らず、その問いの延長線上にある進路を3つ程度書き出す | 20分 |
| 3 | ②③④を声に出して30秒〜1分で話す練習を行い、時間内に収まるか確認する | 15分×3日 |
| 4 | 「具体的にどんな仕事に就きたいのか」という深掘り質問を想定し、同じ問いを別の角度から説明する練習をする | 15分×2日 |
| 5 | オンラインの模擬面接で第三者に聞いてもらい、③の根拠が伝わっているか確認する | 30分 |
練習の際は、一人で暗記するよりも、実際に質問を受けて答える形で反復するほうが効果的です。面接が苦手だと感じる受験生ほど、話し方の技術ではなく、自分の問いを違う聞かれ方でも一貫して説明できる状態を作ることが先決になります。この考え方は面接が苦手でも逆転できる:話し方より「一貫性」を磨く準備術でも詳しく扱っています。
「将来の夢」と「大学で学びたいこと」を混同しない
実務上よく起きるつまずきは、「将来の夢」の回答と「大学で学びたいこと」の回答を別々に用意してしまい、両者の内容がずれてしまうことです。将来の夢が決まっていない受験生ほど、この二つの質問を切り離して考えがちですが、面接官の側では同じ学修の方向性を確認するための質問として扱われていることが多く、回答の間に矛盾があると一貫性のなさとして受け取られます。将来の夢の回答で使った「問い」と、大学で学びたいことの回答で使う「問い」を同じ言葉で説明できるように、事前にすり合わせておくことが実務的な対策になります。学びたいことの回答構成は面接「大学で学びたいこと」の答え方|構成と例文で確認できます。
また、志望理由書の段階で問いをどう立てるかによって、将来の夢の答え方も変わってきます。志望理由書を1分の口頭説明に落とし込む際の配分は面接「志望理由」の答え方|1分で答える構成と例文で扱っていますので、あわせて確認しておくと、将来の夢の質問への深掘りにも対応しやすくなります。なお、大学が示すアドミッションポリシーには、その大学が学生にどのような問いへの取り組み方を期待しているかが書かれていることが多く、アドミッションポリシーの調べ方と読み解き方:出願校リストのつくり方を参考に、志望する学部が重視する方向性を確認しておくと、将来の夢の回答に説得力が出ます。総合型選抜の制度全体を確認したい場合は総合型選抜の解説ページも参考にしてください。
よくある質問
面接で「決まっていない」と正直に言うと不利になりませんか
不利にはなりません。職業を一つに決めていないこと自体は評価の対象ではなく、その代わりにどんな問いに関心を持ち、どこまで自分で調べているかが確認されています。決まっていないという言明だけで終わらせず、問いと根拠を続けて話すことが重要です。
深掘りで「具体的にどんな仕事に就きたいか」と聞かれたらどう答えますか
一つに絞り込んで答える必要はなく、大学で学ぶ問いの延長線上にある進路を複数挙げたうえで、在学中の学びを通じてどの方向に進むかを見極めたいと述べる形で構いません。志望理由書に書いた問いと矛盾しない範囲で答えることが前提になります。
併願校で「将来の夢」の答えを変えてもよいですか
大学ごとに学部の特色が異なるため、問いの説明の仕方を調整すること自体は不自然ではありませんが、根幹となる関心や調べてきた事実まで変えてしまうと一貫性が崩れます。併願校ごとの答え方の調整は面接で併願を聞かれたら|誠実で不利にならない答え方も参考にしてください。
まとめ
- 将来の夢が職業名で決まっていなくても、大学で明らかにしたい問いを軸に説明できれば評価は下がらない
- 回答は現状の言明・問い・根拠・進路の4パートで構成し、問いと根拠に全体の6割の字数を残す
- 「調べきれていないこと」は反省ではなく、調べた事実の延長として述べると限界が学ぶ必然性に変わる
- 「将来の夢」と「大学で学びたいこと」は同じ問いで説明し、志望理由書との矛盾を事前に確認しておく
- 深掘り質問を想定して、同じ問いを別の角度からも説明できるよう練習しておく
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この記事の監修者
エクシオアカデミー 教務部
監修責任者:代表講師 髙久大輝
総合型選抜・学校推薦型選抜の指導を担当する教務部が、公開前に内容を確認したうえで掲載しています。年度で変わる入試情報は断定を避け、必ず大学公式の募集要項の確認をご案内しています。