面接「大学で学びたいこと」の答え方|構成と例文
監修:エクシオアカデミー 教務部
「大学で学びたいことは何ですか」は、志望理由に続けて聞かれることの多い質問です。似た質問に見えますが、面接官が確かめようとしていることは違います。志望理由がなぜ来たのかを問うのに対し、この質問は来てから何をするのかを問います。結論から言うと、答えは「明らかにしたい問い」「自分では届かなかった範囲」「それを埋める手法と分野」「学年ごとの段階」の4つを、1分・約300字でまとめます。分野名を挙げるだけでは足りません。この記事では、その組み立て方と回答例、続く深掘りへの備えを扱います。
この質問で確かめられていること
大学は、答えが確定している知識を配る場所ではなく、答えが確定していない問いを扱う場所です。したがってこの質問は、学びたい科目の申告ではなく、入学後に自分で学びを進められる人かどうかの確認にあたります。
面接官の側から見ると、次の点が判断の材料になります。
- 学部で扱える範囲を理解しているか。学部の守備範囲から外れた話をしていないか
- 学びたいことが、自分の問いから出ているか。他人の言葉の引き写しになっていないか
- 何から始めて何に進むのか、順序を描けているか
- 志望理由書に書いた内容と矛盾しないか
「幅広く学びたいです」という答えが弱いのは、謙虚さの問題ではありません。順序が描けていないことが、そのまま伝わるためです。
1分で答える構成
| パート | 話す内容 | 字数目安 |
|---|---|---|
| ①問い | 何を明らかにしたいのか | 40〜60字 |
| ②届かなかった範囲 | 自分でやってみて、どこで止まったか | 80〜100字 |
| ③手法と分野 | ②を埋めるために必要な学問・手法 | 90〜110字 |
| ④学年ごとの段階 | 何から始め、何に進むか | 50〜70字 |
②を先に置くのがこの質問の要点です。多くの受験生は③から話し始め、「統計を学びたい」「地域経済を学びたい」と分野名を挙げます。しかし、なぜそれが必要になったのかが先に無いと、科目の希望として聞こえます。 自分の作業が止まった地点を示してから手法を挙げると、同じ内容でも必然性のある計画として伝わります。
回答例(約300字)
面接では敬体で話します。 書類は「だ・である」の常体ですが、口頭では「です・ます」です。①〜④は上の表と対応しています。
①私が明らかにしたいのは、地域から店が減ることが、住む人の生活をどう変えるのかということです。②高校で町内の高齢者20人に買い物の頻度を聞きましたが、20人では、頻度の差が移動手段によるものか人間関係によるものかを切り分けられませんでした。聞き方の設計から見直す必要があると考えています。③貴学の△△学部では、統計と調査法を、実際の自治体との連携調査の中で学べると伺っています。私に足りないのは関心ではなく、こうした調査を設計する手続きです。④まず1・2年で統計と調査法を身につけ、3年からは複数の地域を比較して、この差が何によって生じているのかを扱いたいと考えています。
②で自分の作業が止まった地点を具体的に述べ、③でそれを埋める手法を挙げています。③の「私に足りないのは関心ではなく手続きです」という一文は、意欲の表明ではなく現状の把握として機能します。④は二段階で、職業名には触れていません。聞かれてから答えれば足ります。
続けて聞かれる質問と備え
| 聞かれること | 面接官が確かめたいこと | 備え |
|---|---|---|
| その調査は具体的にどう設計しますか | 手法の理解 | 現時点で分かる範囲で。分からない部分は正直に |
| 他の学部でも学べるのではないですか | 学部選択の根拠 | 学部の守備範囲との対応を1つ |
| 統計は苦手ではありませんか | 学習の見通し | 現状と、これから埋める方法を |
| 3年からのテーマは変わりませんか | 研究への理解 | 調べた結果で変わりうると答えてよい |
| 卒業後はどうしますか | 一貫性 | 職業名より、取り組みたい課題で |
四つ目については、「変わらない」と言い切る必要はありません。調べた結果としてテーマが動くのは、研究では通常の過程です。変わりうることを前提に、何を軸に判断するのかを答えられるほうが、理解の深さが伝わります。
評価が下がる答え方
- 「幅広く学びたいです」:順序が描けていないことが伝わります
- 志望理由書の暗唱:面接官は同じ文章を読んでいます
- 職業の説明から入る:「〜になりたいので」で始めると、学問への関心が後景に退きます
- 分野名の列挙:「経済学も社会学も心理学も学びたい」は、どれも浅く聞こえます
- 学部の守備範囲から外れる:志望学部で扱えない内容を挙げると、調べていないと受け取られます
- 2分を超える:1分で切り、残りは深掘りで足します
将来の進路が固まっていない場合は、④を将来像ではなく「深めたい問い」で答えます。書類での同じ考え方は将来の夢がない人の志望理由書|問い起点の構成法で扱っています。
志望理由との役割分担
志望理由と学びたいことは続けて聞かれることが多く、同じ材料を使います。ただし重心が違います。
- 志望理由:問いが生まれた場面と、なぜこの大学なのか。過去から現在まで
- 学びたいこと:届かなかった範囲と、これから何をするか。現在から入学後まで
同じ問い、同じ場面を使いながら、時間の向きだけを変えると、二つの答えが自然につながります。志望理由の組み立ては面接「志望理由」の答え方|1分で答える構成と例文、面接全体の準備は総合型選抜の面接対策|よく聞かれる質問と回答例を参照してください。
面接の形式・時間・質問の傾向は大学・学部・入試方式で異なります。準備の際は各大学の最新の募集要項と選考の説明を確認してください。
練習の手順
- 志望理由書の中から、自分の作業が止まった箇所を1つ選ぶ
- その箇所を埋めるために必要な手法を、志望学部のカリキュラムから探す
- 4パートを箇条書きにする。文章にしない
- 箇条書きだけを見て1分で話し、録音する
- 志望理由と続けて話し、同じ問いで貫かれているかを確認する
2で見つからない場合、学部の選択そのものを見直す価値があります。自分の限界に対応する手法を持っていない学部は、志望理由が書きにくい学部でもあります。 学部の調べ方はアドミッションポリシーの調べ方と読み解き方:出願校リストのつくり方を参照してください。
よくある質問
志望理由と同じ内容になってしまいます
材料は同じで問題ありません。志望理由は問いが生まれた場面に重心を置き、学びたいことは届かなかった範囲とこれからの手法に重心を置きます。時間の向きを変えると、重複した印象になりません。
学びたいことが2つあります
1つに絞って答え、深掘りで「関連して〜にも関心があります」と足すほうが、計画性が伝わります。最初から2つ並べると、どちらも浅く聞こえます。
統計や調査法という言葉を使って大丈夫ですか
自分の言葉で説明できる範囲であれば使えます。定義を言えない用語は、面接で説明を求められたときに答えられません。難しい言葉を使うことが目的ではなく、自分の問いをその分野の議論に接続することが目的です。
まとめ
- この質問は「来てから何をするのか」を確かめるもの。分野名の申告ではない
- 構成は、問い・届かなかった範囲・手法と分野・学年ごとの段階
- ②を先に置くと、③の手法が科目の希望ではなく必然性のある計画になる
- テーマが変わりうることは前提。何を軸に判断するかを答えられればよい
- 書類は常体、面接は敬体。用語は説明できる範囲でのみ使う
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この記事の監修者
エクシオアカデミー 教務部
監修責任者:代表講師 髙久大輝
総合型選抜・学校推薦型選抜の指導を担当する教務部が、公開前に内容を確認したうえで掲載しています。年度で変わる入試情報は断定を避け、必ず大学公式の募集要項の確認をご案内しています。