面接『尊敬する人』の答え方|構成テンプレと例文
監修:エクシオアカデミー 教務部
大学面接で「尊敬する人は誰ですか」と聞かれたときの回答は、60秒・250〜300字程度を目安に組み立てます。配分は、人物提示に15秒、具体的なエピソードに20秒、そのエピソードから生まれた問いに15秒、大学での学びへの接続に10秒です。この質問で面接官が見ているのは、誰を挙げたかという結果ではなく、その人物のどの側面に着目し、そこからどんな関心を育ててきたかという過程になります。功績が立派な人物を挙げても、その理由が「すごいと思ったから」で止まっていれば、評価にはつながりません。
「尊敬する人」の質問で聞かれているのは功績ではなく視点の選び方
「尊敬する人」という質問は、高校生活で頑張ったことや最近気になるニュースと同じく、志望理由書に書いた学修計画との一貫性を口頭で確認するための質問のひとつです。面接は書類の内容をその場で言い換えさせる場であり、暗記した答えを再生する場ではありません。したがって、この質問への答え方も、志望理由書に書いた問いや関心と地続きになっている必要があります。
ここで注意したいのは、尊敬する人物そのものと、その人物から受け取った視点は別のものだという点です。たとえば「地域医療に取り組む医師を尊敬している」という回答は、対象(医師という人物、地域医療という現象)を述べているにすぎません。面接官が知りたいのは、その医師の姿を見て受験生が何を疑問に思い、その疑問をどんな学問の枠組みで考えようとしているかという部分になります。対象だけを語る回答は、単なる関心の表明で終わってしまいます。
回答の型:60秒の構成テンプレ
以下の4パートで組み立てると、単なる人物紹介にならず、学びへの接続まで届く回答になります。
| パート | 話す内容 | 秒数目安 | 字数目安 | 割合 |
|---|---|---|---|---|
| ①人物提示 | 誰を尊敬するか、一言で理由を添える | 15秒 | 40字 | 15% |
| ②具体的エピソード | 実際に見聞きした場面、確認したこと | 20秒 | 90字 | 35% |
| ③生まれた問い | そこから抱いた疑問、考えるようになったこと | 15秒 | 80字 | 30% |
| ④学びへの接続 | 大学でその問いをどう掘り下げたいか | 10秒 | 50字 | 20% |
配分で意識したいのは、②のエピソードに字数を割きすぎないことです。エピソードは③の問いを裏づけるための材料であり、主役ではありません。功績を長く語ってしまうと、面接官の印象には「立派な人を知っている受験生」しか残らず、志願者自身の関心は伝わりにくくなります。
注釈つき例文
面接では敬体で話します。以下は、地元で診療所を営む親戚を尊敬する人物として挙げた例です。
私が尊敬しているのは、①地元で診療所を営んでいる伯母です。伯母は都市部の病院を辞め、医師が不足している地域で開業しました。②高校2年の夏に診療所の受付を手伝った際、片道1時間かけて通院してくる高齢の患者が何人もいることを実際に確認できました。③この経験から、医療資源が地域によって偏在しているのは個人の努力の差だけでは説明できず、制度や地理的な条件が関わっているのではないかと考えるようになりました。④大学では地域医療政策について学び、伯母が向き合ってきた問題を制度の側面から捉え直したいと考えています。
この例文では、①が人物提示、②が受付を手伝った際に確認した具体的な事実、③がそこから生まれた疑問、④が大学での学びへの接続にあたります。伯母という対象(人物・現象)と、地域医療政策という学問上の枠組み(装置)を分けて語っている点がポイントで、対象だけで終わらせず、それを説明するための学問領域まで言及することで、志望理由書の学修計画と接続する回答になっています。
避けたい5つの失敗パターン
- 有名人の功績を紹介するだけで終わる:発明や実績を並べても、志願者自身がそこから何を考えたかが伝わらず、伝記の朗読のように聞こえる
- 家族への感謝で締めくくる:「育ててくれて感謝している」という結論は情緒的な感想にとどまり、学びへの接続点が見えない
- エピソードが長すぎて問いに字数が残らない:具体例に時間を使いすぎると、③④を話す前に持ち時間が尽きてしまう
- 志望理由書に書いた関心と無関係な人物を挙げる:面接官は書類との一貫性を確認しているため、接続がないと矛盾している印象を与える
- 伝聞だけで裏づけがない:「〜と聞きました」で終わる理由づけは、実際に確認した事実がなく、根拠が薄いと判断されやすい
これらに共通するのは、人物や功績の説明に終始し、そこから生まれた自分自身の問いを言語化できていない点です。長所短所の答え方でも同じ構造の失敗が起きやすく、エピソードを成長物語や問いに変換する作業が抜けると、記憶に残らない回答になります。
誰を選ぶか迷ったときの決め方
「尊敬する人」に誰を選ぶべきか迷う受験生は少なくありません。選択肢ごとに注意点が異なるため、整理しておきます。
有名人・研究者を挙げる場合は、功績の大きさよりも、その人物のどの著作や発言に触れ、何を疑問に思ったのかという経路を具体的に話す必要があります。名前だけを挙げて経歴を説明する構成では、インターネットで調べた情報の要約になりがちです。
家族を挙げる場合は、感謝の言葉で終わらせず、その人の生き方や仕事のどの部分が、志願者の関心とつながっているかを一段掘り下げます。前述の例文のように、身近な人物の行動から社会的な問いに接続できると、個人的な経験と社会的な視点の両方を含んだ回答になります。個人の体験だけで終われば感想文に近づき、逆に社会問題だけを語れば他人事の評論になってしまうため、両方を橋渡しする語り方が必要です。
学校の教員や部活動の指導者を挙げる場合は、具体的な指導場面を一つに絞り、そこで得た視点を明確にすることが大切です。抽象的に「熱心に指導してくれた」と述べるだけでは、高校生活で頑張ったことの回答と重複してしまい、質問の意図と噛み合わなくなります。
なお、どの人物を選ぶ場合も、志望理由書に書いた研究したい問いと矛盾しないかを事前に確認しておく必要があります。志望理由書と面接の内容がずれていると、面接官はどちらが本当の関心なのか判断できなくなります。
準備の手順と練習法
| ステップ | やること | 目安時間 |
|---|---|---|
| ①棚卸し | 影響を受けた人物を3人程度書き出し、志望理由書の関心と重なる人を選ぶ | 20分 |
| ②事実の確認 | エピソードの日時・場所・自分が確認した内容を具体的に書き出す | 15分 |
| ③問いの言語化 | エピソードから生まれた疑問を一文にまとめる | 15分 |
| ④原稿化 | 上記の構成テンプレに沿って250〜300字の原稿を作る | 20分 |
| ⑤音読・模擬面接 | 声に出して60秒に収まるか確認し、聞かれ方を変えて練習する | 30分 |
練習の際は、「なぜその人を選んだのですか」「その考え方はほかの場面でも役立ちましたか」といった追加の質問にも答えられるよう、面接官役に聞き方を変えてもらうことが有効です。面接は暗記した一つの答えを再生する場ではなく、面接が苦手でも逆転できるで述べられている通り、聞かれ方が変わっても同じ一貫性で答えられる状態を作ることが目的になります。
よくある質問
尊敬する人がいない場合はどう答えればよいですか
無理に一人に絞る必要はなく、複数の人物からそれぞれ影響を受けた要素を一つずつ挙げてもかまいません。ただし、誰も思い浮かばないまま面接に臨むのではなく、志望理由書に書いた関心に近い人物を探す作業を事前に済ませておくことが大切です。身近な家族や教員でも、具体的な場面と結びつけて語れれば十分に成立します。
志望理由書に書いた内容と違う人物を答えてもよいですか
矛盾しない範囲であれば問題ありませんが、面接官は志望理由書と回答の一貫性を確認しているため、まったく別方向の関心に見える人物選びは避けたほうが安全です。志望理由書に登場する問いと接続できる人物を選ぶか、接続できる理由を明確に用意しておく必要があります。
尊敬する人の話が大学で学びたいことと結びつかない場合はどうすればよいですか
結びつきが弱いと感じる場合は、人物選びを見直すよりも先に、その人物のどの側面に注目しているかを狭めることを試します。功績全体ではなく一つの行動や発言に絞ると、学修計画との接続点が見つけやすくなります。それでも接続が難しい場合は、別の人物を検討したほうが回答全体の一貫性を保てます。
まとめ
- 「尊敬する人」の回答は60秒・250〜300字を目安に、人物提示・エピソード・問い・学びへの接続の4パートで組み立てる
- 功績の紹介に字数を割きすぎず、そこから生まれた自分自身の問いに字数を残すことが評価につながる
- 対象(人物・現象)と、それを説明する学問の枠組みを分けて語ると、単なる関心の表明で終わらない
- 家族や身近な人物を選ぶ場合は、感謝で終わらせず、社会的な視点への接続を一段加える
- 志望理由書に書いた関心との一貫性を事前に確認し、聞かれ方が変わっても同じ軸で説明できる状態を作る
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この記事の監修者
エクシオアカデミー 教務部
監修責任者:代表講師 髙久大輝
総合型選抜・学校推薦型選抜の指導を担当する教務部が、公開前に内容を確認したうえで掲載しています。年度で変わる入試情報は断定を避け、必ず大学公式の募集要項の確認をご案内しています。