面接の深掘り質問対策|なぜ5回でも崩れない準備法
監修:エクシオアカデミー 教務部
深掘り質問で崩れるかどうかは、話し方の上手さではなく、1つの主張に対して何層の根拠を用意できているかで決まります。対策の結論は、志望理由書に書いた主張のそれぞれについて「①事実の要約→②仮説→③自分で調べた根拠と限界→④まだ分かっていないこと→⑤大学で埋めたい学び」という5段階を言葉にしておくことです。面接官の「なぜ」は多くの場合3回前後で止まりますが、5段階まで用意しておけば、途中で聞かれ方が変わっても答えが途切れません。この記事では、その5段階テンプレの作り方と、注釈つき例文、練習の手順を具体的に示します。
深掘り質問で問われているのは「根拠の層の数」
総合型選抜・学校推薦型選抜の面接は、志望理由書の口頭確認として行われます。面接官は作文の巧拙を見ているのではなく、志願者が書類に書いた主張をどこまで自分の言葉で支えられるかを確認しています。そのため「なぜそう考えたのですか」という問いは1回で終わることもあれば、答えの根拠が薄いと判断された場合には3回、4回と重ねられることがあります。
重要なのは、質問の回数ではなく、志願者の側が主張ごとに何段階の根拠を用意しているかという点です。1段階しか用意していない志願者は、1回目の「なぜ」には答えられても、2回目で同じ内容を言い換えて繰り返すだけになり、面接官からは「考えが浅い」という印象を持たれます。一方で、事実・仮説・根拠と限界・未検証の領域・学びたいことという5段階を言葉にしている志願者は、どの角度から問われても、対応する段階を取り出して答えることができます。
なお、深掘り質問は志望理由書の本文だけでなく、自己推薦書や活動報告書に書いた内容にも及びます。関連する項目として、長所短所の答え方を扱った記事も参考になります。大学面接の長所短所の答え方|例文と成長物語への変換法
5段階の深掘りに耐える準備テンプレ
志望理由書に書いた主張のうち、特に核になる1つを選び、次の表の順に言葉を用意しておきます。すべての主張についてこれをやる必要はなく、面接官が最も聞きそうな中心的な主張1〜2個に絞って準備するほうが実践的です。
| 段階 | 面接官の問いの型 | 答える内容 | 準備のポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | 「〜について聞かせてください」 | 志望理由書に書いた主張・事実の要約 | 書類の一文をそのまま暗記するのではなく、30秒で要約できる形にしておく |
| 2 | 「それはなぜだと考えましたか」 | その主張の背景にある仮説 | 「〜ではないかと考えた」という仮説の言い方に統一し、断定しない |
| 3 | 「自分で確認したことはありますか」 | 調べた方法・資料・分かった傾向と、その限界 | 相関と因果を混同せず、確認できた範囲を正直に示す |
| 4 | 「何が分かっていませんか」 | 自分の調査では切り分けられなかった要因 | 反省ではなく、自分の立場では統制できなかった条件として説明する |
| 5 | 「大学でそれをどう埋めますか」 | 学びたい分野・手法・学修計画とのつながり | アドミッションポリシーや学部のカリキュラムの言葉と接続する |
この5段階は、志望理由書そのものの骨格でもあります。問いと意義、自分で調べたこと、分からなかったこと、それを埋めるための学びという構造が書類の段階でできていれば、面接での深掘りは「書いたことをもう一度、別の角度で話す」作業になります。アドミッションポリシーとの接続が弱いと感じる場合は、出願校ごとの読み解き方をまとめた記事も確認しておくとよいでしょう。アドミッションポリシーの調べ方と読み解き方:出願校リストのつくり方
注釈つき例文
面接では敬体で話します。以下は、地元商店街の空き店舗増加に関心を持ち、〇〇大学△△学部を志望する架空の受験生が、深掘り質問を5回受けた場面の想定問答です。
面接官:志望理由書に書かれている、商店街の空き店舗増加について聞かせてください。
生徒:①はい。私の地元の商店街では、ここ5年で空き店舗の割合が目に見えて増えていると感じていました。
面接官:それはなぜだと考えていますか。
生徒:②郊外型の大型商業施設の増加によって、徒歩圏での購買行動が変化したのではないかと考えています。
面接官:その仮説について、自分で何か確認したことはありますか。
生徒:③地元の商工会議所が公開している統計を確認したところ、大型店の出店数と空き店舗率には緩やかな相関が見られました。ただし同じ期間に人口減少や後継者不足も進んでいるため、この相関だけで因果関係を断定することはできないと考えています。
面接官:では、何が分かっていないのでしょうか。
生徒:④後継者不足が購買行動の変化からどの程度独立して影響しているのか、商工会議所の統計だけでは切り分けられておらず、明らかにできていません。
面接官:それを大学でどのように明らかにしていきたいですか。
生徒:⑤△△学部の地域経済論と商業統計の分析手法を学び、要因ごとに分けて検証する枠組みを身につけたいと考えています。
①が志望理由書に書いた主張の要約、②がその背景にある仮説、③が自分で調べた根拠と、相関と因果を区別した限界の説明にあたります。④が自分の調査では切り分けられなかった未検証の領域、⑤がそれを埋めるために大学で学びたい内容で、5段階テンプレの各パートにそのまま対応しています。
深掘りで崩れる人に共通するNGパターン
準備の段階でよく見られる失敗を挙げます。
- 1段階目の内容を繰り返すだけで2回目以降の「なぜ」に答える:同じ情報の言い換えに終始するため、考えを深めていないと判断される
- 「なぜ」に対して「興味があったから」「頑張りたいと思ったから」という感情だけで答える:検証のしようがない理由のため、根拠として扱われない
- 限界を聞かれて「勉強不足でした」「力及ばずでした」と反省の言葉で片づける:自分の努力の問題にしてしまい、統制できなかった条件として説明できていないため、大学で学ぶ必然性が伝わらない
- 現象の話に終始し、それを説明する学問上の枠組みに一度も触れない:関心の表明にとどまり、研究計画の確認としての深掘りに耐えられない
- 5回目あたりで話題を変えて別の主張に逃げる:一つの問いを最後まで考え抜いていないという印象を与え、一貫性が疑われる
なお、想定外の角度から問われて言葉に詰まった場合の切り返し方については、別記事で具体的な対処法をまとめています。面接で答えられない質問への対処法|沈黙10秒の切り返し方
準備の手順と時間配分
5段階テンプレは一度に完成させるものではなく、段階を分けて準備したほうが定着します。
| 手順 | 内容 | 目安時間 |
|---|---|---|
| 1 | 志望理由書の主張を1文ずつ洗い出す | 30分 |
| 2 | 中心となる主張1〜2個について①〜⑤を書き出す | 1主張あたり60分 |
| 3 | 書いた内容を声に出して話し、録音して聞き直す | 1回15分×5セット |
| 4 | 模擬面接で深掘りを受け、言い直しが必要な段階を特定する | 1回30分 |
| 5 | 問いの抽象度を変えて(「なぜ」「具体的には」「他の可能性は」)同じ内容を説明し直す | 1回20分 |
手順3と5は特に省略されがちですが、書いた言葉を声に出す段階を飛ばすと、本番で言い換えに詰まることが多くなります。問いの抽象度を変えて練習しておくと、面接官の聞き方が変わっても慌てずに対応できます。模擬面接の実施自体が初めての場合は、話し方の前に一貫性を磨く準備のほうが優先になることもあります。面接が苦手でも逆転できる:話し方より「一貫性」を磨く準備術
「対象」と「装置」を分けると深掘りに強くなる
深掘り質問は、前半で現象そのもの(対象)について問われ、後半でそれを学問的にどう扱うか(装置)に移ることが多く見られます。先の例文で言えば、商店街の空き店舗増加という現象が対象、地域経済論や商業統計の分析手法が装置にあたります。
対象だけを厚く準備していると、3回目か4回目の「それを大学でどう扱いますか」という問いで言葉が止まりやすくなります。これは対象への関心は十分でも、それを説明するための学問上の枠組みを自分の言葉で持っていないために起こります。対策としては、志望理由書を書く段階から、関心のある現象と、それを学ぶ学部・学科のカリキュラムや研究分野の名称を結びつけておくことが有効です。対象と装置が両方言葉になっていれば、深掘りがどちらの方向に進んでも答えを持っている状態を作れます。
この考え方は「大学で学びたいこと」を聞かれたときの答え方とも共通しています。面接「大学で学びたいこと」の答え方|構成と例文
よくある質問
深掘り質問は何回まで続きますか
回数は面接官や大学によって異なり、一律に決まっているわけではありません。2〜3回で終わる場合もあれば、5回以上重ねられる場合もあります。重要なのは回数ではなく、何段階の根拠を準備しているかという点なので、回数を予測すること自体にはあまり意味がありません。
想定していなかった角度から聞かれたらどうすればよいですか
すぐに答えようとせず、質問の意図を確認する一言を挟んでも構いません。「〇〇という理解でよろしいでしょうか」と確認してから答えることは、焦って的外れな返答をするより評価を下げにくい対応です。具体的な切り返し方は別記事で扱っています。面接で答えられない質問への対処法|沈黙10秒の切り返し方
深掘りは志望理由書に書いた内容だけに限られますか
基本的には書類に書いた主張が中心になりますが、学修計画や併願理由との整合性が問われることもあります。志望理由書の主張と、学びたいことや併願先の説明が矛盾していないかも、あわせて確認しておくと安心です。
まとめ
- 深掘り質問で評価されるのは回数への耐性ではなく、1つの主張に対する根拠の層の数である
- ①事実の要約②仮説③根拠と限界④未検証の領域⑤学びたいことの5段階を、中心となる主張について準備しておく
- 限界は反省の言葉ではなく、自分の立場では統制できなかった条件として説明する
- 対象(現象)だけでなく装置(学問的枠組み)を言葉にしておくと、深掘りの方向が変わっても答えられる
- 練習は書き出すだけで終わらせず、声に出す段階と問いの角度を変える段階まで行う
無料受験相談のご案内
志望理由書に書いた主張をどこまで深掘りに耐える形にできているかは、自分だけで確認するのが難しい部分です。エクシオアカデミーは総合型選抜・学校推薦型選抜専門の完全オンライン塾で、全国どこからでも面接練習や書類の読み合わせを受けられます。5段階の準備が自分の志望理由書でどこまでできているか気になる場合は、無料の受験相談で一度確認してみてください。無料受験相談を予約する
この記事の監修者
エクシオアカデミー 教務部
監修責任者:代表講師 髙久大輝
総合型選抜・学校推薦型選抜の指導を担当する教務部が、公開前に内容を確認したうえで掲載しています。年度で変わる入試情報は断定を避け、必ず大学公式の募集要項の確認をご案内しています。