自己推薦書とは?書き方の構成テンプレと例文(800字)
監修:エクシオアカデミー 教務部
自己推薦書とは、自分で自分を推薦する書類です。ただし、推薦とは強みを申告することではありません。学校推薦型選抜で先生が書く推薦書に根拠が必要であるのと同じように、自己推薦書にも根拠が要ります。結論から言うと、800字の自己推薦書は「強みの提示」「根拠となる行動」「行動から得たもの」「大学での活かし方」「結び」の5段落で、根拠となる行動に全体の4割近くを使います。この記事では、この配分と常体で書いた例文、志望理由書との書き分けを扱います。
自己推薦書は「申告」ではなく「論証」です
総合型選抜と学校推薦型選抜は、点数で自動的に順位がつく入試ではなく、大学の教員が書類と面接を通じて一人ひとりを判断する入試です。判断する以上、判断の材料が要ります。自己推薦書は、その材料を志願者の側から提出する書類にあたります。
そのため、次の二つは評価のされ方が大きく違います。
- 「私は粘り強い性格です」——これは申告です。読み手には確かめようがありません
- 「◯◯という状況で、△△という方法に切り替え、□□まで続けた」——これは論証です。読み手は行動の跡を確認できます
自己推薦書で見られているのは性格の良し悪しではなく、大学が公表している求める人物像に対して、自分が当てはまることを事実で示せているかです。だから、書き始める前にアドミッションポリシーを読む必要があります。読み解き方はアドミッションポリシーの調べ方と読み解き方:出願校リストのつくり方で扱っています。
志望理由書との違い
| 自己推薦書 | 志望理由書 | |
|---|---|---|
| 主語 | 自分(どういう行動をとる人か) | 問い(何を明らかにしたいか) |
| 根拠 | 行動の事実 | 調べた結果と、残った限界 |
| 大学の情報 | 求める人物像との対応 | 学びの手法との対応 |
| 読み手が確かめること | 入学後も同じように動けるか | 入学後に学び続けられるか |
名称は大学によって異なり、「自己推薦書」「自己アピール書」「自己PR書」と呼び方が変わります。両方を課す大学では、同じ経験を書くこと自体は問題ありませんが、切り口を変えないと同じ話を二度読ませることになります。書き分けの詳細は自己推薦書と志望理由書の違い|書き分けと両方出す時の役割分担を参照してください。
800字の段落配分テンプレート
| 段落 | その段落の役割 | 字数目安 |
|---|---|---|
| ①強みの提示 | 性格ではなく、行動の傾向として一言で | 70〜90字 |
| ②根拠となる行動 | いつ・何に・どう取り組んだか。困難と、そこでの判断 | 280〜320字 |
| ③行動から得たもの | 結果と、その後に変わった自分の動き方 | 130〜160字 |
| ④大学での活かし方 | 求める人物像との対応と、学びの中でどう発揮するか | 180〜220字 |
| ⑤結び | ①に戻る | 60〜80字 |
②に4割近くを割く理由は、ここだけが他の志願者と入れ替えられない部分だからです。①は言葉を選べば誰でも似た表現になり、④も大学案内を読めば材料は同じです。行動の中身と、そのとき何を考えて判断を変えたかにだけ、その人の跡が残ります。
③で書くのは「学びました」という感想ではなく、その後に自分の動き方がどう変わったかです。行動の変化まで書けると、入学後も同じように動くだろうと読み手が推測できるようになります。
注釈つき例文(約800字)
5段落を埋めた例文です。自己推薦書は「だ・である」の常体で書きます。 面接での話し方とは別のものとして扱ってください。①〜⑤は上の表と対応しています。受賞歴も役職も無い例にしています。
①私の強みは、うまくいっていない状態を放置せず、原因を調べたうえで人に働きかけるところにある。
②高校2年の秋、図書委員会で貸出数が3年間で4割減ったという報告があった。理由は分からないまま、報告だけが毎年繰り返されていた。そこで私は1か月間、昼休みの来館者を学年別に記録した。1年生の利用が突出して少なく、聞き取ると「どこに何があるか分からない」という答えが多かった。配架の問題だと考え、学年別のおすすめ本を入口に並べる棚を提案した。置き場所がないという理由で一度は却下されたが、返却棚の一部を空ける配置図を作って司書の先生に相談し、2か月間の試行という形で了承を得た。
③試行期間の貸出数は前年同期比で約2割増え、なかでも1年生の利用が最も伸びた。この経験以降、私は何かを提案する前に必ず数を数えるようになった。反対されたときも、意見を通すより先に、相手が懸念している条件を具体的に潰す方が早いと考えるようになった。
④貴学△△学部は、社会の課題をデータにもとづいて分析し、政策として設計するところまでを扱うと理解している。アドミッションポリシーに挙げられている「主体的に課題を発見し、他者と協働して解決に取り組む姿勢」は、私が図書委員会で行ってきたことと重なる。入学後は、感覚で提案していた部分を統計と調査法によって裏づけられるようにしたい。
⑤放置されていた数字を自分で数え直すところから始める姿勢を、貴学での学びの中でも変えずに続けたい。
①は性格の形容詞ではなく行動の傾向で書いています。②には「3年間で4割減」「1か月」「2か月」「約2割増」という確かめられる数字があり、却下されたあとにどう判断を変えたかまで含まれています。③は感想ではなく、その後の動き方の変化です。④で求める人物像との対応を示し、⑤で①に戻しています。文末は、確かめたことを「〜であった」「〜伸びた」、考えを「〜と考えた」と書き分けています。
評価が下がる自己推薦書
- 強みを3つ並べる:「協調性と責任感と行動力があります」と書くと、800字では1つも証明できません
- エピソードが「参加した」で終わる:何に気づき、何を変えたのかが無いと、行動ではなく経歴の紹介になります
- 結果の大きさで押す:受賞や記録は事実として書けますが、そこに至る判断が書かれていないと材料になりません
- ④が一般論:「充実した環境で成長したい」は、大学名を差し替えても成立します
- 志望理由書と同じ文章:両方を課す大学は、書き分けられるかどうかも見ています
- 敬体で書く:書類は常体で書きます
強みが思いつかないという相談は多いのですが、原因はたいてい「強みを先に決めてからエピソードを探している」ことにあります。順序を逆にして、自分から動いた場面を10個ほど書き出し、そこに共通する行動の傾向を後から言葉にしてください。題材の探し方は活動実績が少なくても書ける志望理由書のつくり方|オンライン指導の視点からが参考になります。
書き上げるまでの手順
- 要項で書類の正式名称・字数・設問文を確認する
- 自分から動いた場面を10個書き出す。結果が出たかどうかは問わない
- 10個に共通する行動の傾向を1つの言葉にする
- アドミッションポリシーを読み、3で出した言葉と対応する箇所を探す
- 5段落の内容を箇条書きにしてから、800字を一気に書く
- 第三者に「②が根拠になっているか」を中心に読んでもらう
- 字数・誤字・設問文との対応を確認する
3を2より先にやると、強みに合わせてエピソードを作ることになり、面接での掘り下げに耐えられなくなります。面接で長所として聞かれたときの答え方は大学面接の長所短所の答え方|例文と成長物語への変換法と揃えておいてください。
「自己PR」という名称で800字を求められた場合の配分と例文は、自己PR800字の書き方|大学入試の構成テンプレと例文で、就職活動の自己PRとの違いも含めて扱っています。
字数が800字以外のとき
| 指定字数 | 調整の仕方 |
|---|---|
| 400〜600字 | ③を②に吸収し、④を100字前後に圧縮する。判断を変えた場面は残す |
| 800字 | 本記事の配分 |
| 1000〜1200字 | ②を深く掘るか、④の学びの計画を具体化する。強みは増やさない |
| 2000字 | ②に「別の場面での同じ行動」を加えて再現性を示す |
字数が増えても強みは1つに絞ります。2つ目の強みを足すよりも、同じ行動の傾向が複数の場面に出ていることを示すほうが、一貫した人物像として読まれます。
書類の名称・字数・設問は大学ごとに異なり、年度によって変わることもあります。出願の際は必ず最新の募集要項で確認してください。
よくある質問
自己推薦書に書く強みが思いつきません
受賞歴や役職から探すと見つかりません。誰にも頼まれていないのに自分から始めたことを、結果を問わず10個書き出してください。委員会での小さな改善、練習方法の工夫、家族や友人との関わりでもかまいません。共通する行動の傾向が強みにあたります。
志望理由書と自己推薦書で同じ経験を使ってもよいですか
使えます。志望理由書では「その経験からどんな問いが生まれ、何を調べ、何が分からなかったか」を、自己推薦書では「その場面でどう判断し、その後どう動き方が変わったか」を書きます。同じ文章の流用は避けてください。
結果が出なかった活動でも書けますか
書けます。なぜ結果が出なかったのかを構造として説明できていれば、思考の深さを示す材料になります。失敗の描写で終わらず、次にどう行動を変えたかまで書いてください。
まとめ
- 自己推薦書は強みの申告ではなく、求める人物像への適合を行動の事実で示す書類
- 800字は「強み・根拠となる行動・得たもの・大学での活かし方・結び」の5段落。②に約4割
- ③は感想ではなく、その後に変わった自分の動き方を書く
- 常体(だ・である)で書き、確かめたことと考えを文末で書き分ける
- 強みは1つ。書類名と字数は最新の募集要項で確認する
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この記事の監修者
エクシオアカデミー 教務部
監修責任者:代表講師 髙久大輝
総合型選抜・学校推薦型選抜の指導を担当する教務部が、公開前に内容を確認したうえで掲載しています。年度で変わる入試情報は断定を避け、必ず大学公式の募集要項の確認をご案内しています。