志望理由書800字の構成テンプレと例文・時間配分
監修:エクシオアカデミー 教務部
志望理由書を「800字で」と指定されたとき、多くの高校生が迷うのは、何にどれくらいの字数を使えばよいのかという点です。結論から言うと、800字は「導入」「問いと調べた結果」「大学で研究したいこと」「結び」の4段落で組み立て、配分は導入100字前後、問いと調べた結果に300字以上、大学での研究に250字前後、結び80字程度を目安にします。もっとも字数を割くのは、志望のきっかけではなく、そのきっかけから立てた問いを自分でどこまで調べ、何が分からずに残ったのかという部分です。 この記事では、この配分の考え方と、常体で書いた例文、下書きから提出までの時間配分を扱います。
800字は「熱意の分量」ではなく「思考の分量」で決まります
配分の話に入る前に、志望理由書が何を書く書類なのかを確認しておきます。
大学は、答えが確定している問いを教える機関ではなく、答えが確定していない問いに、根拠を示しながら答えを組み立てる場所です。文部科学省も、大学の使命として教育・研究・社会貢献の三つを挙げています。この性格を踏まえると、大学に提出する志望理由書に求められるのは、志望の強さの表明ではなく、その志願者がどのような問いを持ち、どこまで自分で答えようとしたのかの説明だと分かります。総合型選抜の全体像は総合型選抜(旧AO入試)とは?仕組みと特徴をわかりやすく解説で扱っています。
そのため、800字の配分は次のように決まります。
- 志望のきっかけとなった経験は、問いにつながる部分だけを書けば足ります。全体の1割程度で収まります
- 中心に置くのは、その問いを社会の問題として位置づけ直した部分と、自分で調べて分かったこと、それでも分からなかったことです
- 大学の話は、分からずに残った部分を誰と、どの手法で埋めるのかという形で書きます
書き出しの前にこの順序を決めておくと、800字という短い分量でも内容が薄くなりません。逆に、経験の描写から書き始めて字数が尽きるという失敗は、配分の問題ではなく書く順序を決めていないことから生じます。
800字の段落配分テンプレート
以下は、多くの学部・学科で応用しやすい標準的な配分です。実際の配分は、設問の指示(「学びたいこと」「将来像」などの指定があるか)によって調整します。
| 段落 | その段落の役割 | 字数目安 |
|---|---|---|
| ①導入 | 志望する分野の結論と、問いのきっかけになった出来事 | 100〜120字 |
| ②問いと調べた結果 | 問いを社会の問題として位置づけ、自分で調べた結果と残った限界を示す | 300〜350字 |
| ③大学で研究したいこと | 限界をどう埋めるか。なぜこの大学・学部でなければならないか | 250〜300字 |
| ④結び | 問いの行き先を示す | 80〜100字 |
②がもっとも長いのは、ここが志望理由書の中で唯一、他の志願者と入れ替えられない部分だからです。①の経験は似た話を書く人がいます。③も、大学案内を読めば誰でも同じ材料にたどり着きます。しかし、自分で調べた範囲と、そこで見えた限界だけは、その人の作業の跡が残ります。
各段落で意識すること
- 導入:出来事は1つに絞り、感動ではなく違和感を書きます。長く書くほど②が削られます
- 問いと調べた結果:統計や報道を引くときは、調査主体と年を書きます。調べた結果は数字で示し、「それでも明らかにできなかったこと」を必ず1文入れます
- 大学で研究したいこと:学部名を挙げるだけでは足りません。②で示した限界と、その大学の学び・手法との対応を書きます
- 結び:新しい話題を出さず、①の場面に戻ります
評定や活動実績そのものよりも、関心から学びへの筋道が通っているかが見られる理由は、逆転合格を支える志望理由書:評定より「一貫性」が評価される理由で扱っています。志望校の学びを調べる手順はアドミッションポリシーの調べ方と読み解き方:出願校リストのつくり方を参照してください。
注釈つき例文(約800字)
配分だけでは書き出しにくいので、4段落を埋めた例文を示します。①〜④は上の表の段落と対応しています。志望理由書は「だ・である」の常体で書きます。 面接の受け答えとは違い、書類では敬体を使いません。大学名・学部名は伏せています。
①祖母が長年通っていた青果店が閉店し、祖母は片道40分かけて隣町の店へ通うようになった。買い物に出る回数が減るにつれて外出そのものが減り、体調を崩す日が増えた。店が減ることは、不便さの問題としてだけ語られてよいのだろうか。この違和感が出発点である。
②買い物に困難を抱える高齢者が全国に相当数存在することは、農林水産省の食料品アクセス問題に関する推計でも示されている。ただし、この状態が店舗の撤退だけで生じているとは考えにくい。移動手段の有無、同居家族の有無、近隣で頼れる相手がいるかどうかといった条件が重なった結果ではないかと考えた。そこで、町内の高齢者20人に買い物の頻度と移動手段を聞き取った。週に1回以下しか買い物に出られない人が14人おり、そのうち9人は自分の移動手段を持っていなかった。一方で、近隣に頼れる相手がいる人は、移動手段がなくても頻度が下がっていなかった。しかし20人という範囲では、この違いが偶然によるものかどうかを確かめられない。統計として検証する手法を、私は持っていない。
③貴学△△学部では、地域経済を理論だけでなく、自治体や商店街と連携した調査を通じて学べると理解している。私に足りないのは関心ではなく、聞き取りを調査として成立させる設計と分析の手法である。貴学で統計と調査法を学び、移動手段と地域内の関係の厚さのどちらが買い物の頻度を左右しているのかを、複数の地域を比較して明らかにしたい。
④祖母の一日を短くしたものが何だったのかを、感覚ではなく事実として説明できるようになりたい。
①は約120字で、感動的な話ではなく違和感で終えています。②は約340字で、社会の問題としての位置づけ、仮説、自分で調べた結果、そして「統計として検証する手法を、私は持っていない」という限界まで書いています。③はその限界と大学の学びを対応させ、④は①の場面に戻して締めています。文末を見ると、確かめたことは「〜であった」、仮説は「〜ではないかと考えた」、未検証のことは「〜を確かめられない」と書き分けています。
字数が変わる場合の調整は、志望理由書600字の構成テンプレと例文・削り方と志望理由書1200字の構成テンプレと段落配分・例文で扱っています。段落をどこで切るかに迷う場合は志望理由書の段落構成|何段落で書くか字数別の分け方を、指定字数の何割まで埋めるべきかは志望理由書は何割埋める?字数の目安と足りない時の対処を参照してください。
800字を書き上げるための時間配分の目安
構成が決まっても、どれくらいの時間をかけて仕上げればよいか分からないという声をよく聞きます。初めて書く場合の目安は次のとおりです。学校の進度や個人差によって前後します。
| 工程 | 内容 | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 問いの言語化 | きっかけの出来事から「なぜ」を書き出す | 1〜2時間 |
| 調べる | 統計・報道・書籍で社会の問題として位置づける。可能なら自分で調査する | 数日〜数週間 |
| 構成メモ | 4段落それぞれに書く内容を箇条書きで整理 | 30分〜1時間 |
| 下書き | 実際に800字を書いてみる | 1〜2時間 |
| 見直し・添削 | 第三者に読んでもらい修正する | 数日〜1週間(複数回) |
| 最終調整 | 誤字脱字・字数確認 | 30分程度 |
見落とされやすいのは「調べる」の工程です。ここに時間をかけないと②が書けず、結果として①の描写を長くして字数を埋めることになります。オンラインでの添削がどう進むかは、志望理由書の添削はオンライン塾でどう進む?提出から完成までのサイクルを公開で具体的なサイクルを紹介しています。
800字でよくある失敗パターン
- 導入が長い:きっかけの描写が200字を超えると、②に使える字数が残りません
- 調べた結果が無い:関心を述べただけの書類は、読み手にとって関心の表明にとどまります
- 限界を書いていない:自分で全部分かったように書くと、大学で学ぶ必然性が消えます
- 解決策から入る:「◯◯を解決したい」と先に置くと、その解決策に合うように課題の側を調整することになり、分析が浅くなります
- ③が大学案内の要約:「充実した環境」「学際的な学び」だけでは、他の大学に差し替えても成立してしまいます
- ④で新しい主張を足す:結びは、まとめきれていない印象を残します
活動実績が少ないと感じている場合でも、②の「自分で調べた」は本を3冊読んで論点を整理した、公開されている統計を自分で集計した、といった作業で成立します。題材の探し方は活動実績が少なくても書ける志望理由書のつくり方|オンライン指導の視点からで扱っています。
出願直前に取りかかる場合
出願が近づいてから800字に取りかかることもあります。時間が限られている場合でも、順序は変えません。まず①〜④の役割を箇条書きで決め、②から書き始めます。①から書くと描写に時間を取られ、②が空いたまま提出日を迎えることになります。
短期間での仕上げ方は志望理由書が間に合わない時の書き方|残り2週間・1ヶ月の手順で、残り期間別に整理しています。
字数の指定や設問の文言は、大学・学部・入試方式によって異なります。ここで示した配分は目安であり、出願にあたっては各大学の最新の募集要項で指定文字数と設問文を確認してください。
よくある質問
800字で調べた結果まで書く余裕がありません
①の描写を削ってください。多くの場合、きっかけの場面に200字以上を使っています。出来事の説明は、問いにつながる部分だけで足ります。祖母の例でいえば、青果店が閉店したこと、外出が減ったこと、この二つが書ければ十分です。
自分で調査をしていないのですが、②に何を書けばよいですか
公開されている統計を自分で読んだ結果や、書籍・論文で確認した内容でかまいません。重要なのは調査の規模ではなく、自分で手を動かした範囲と、そこで届かなかった範囲を区別して書けているかです。
常体(だ・である)で書くと冷たい印象になりませんか
志望理由書は研究計画に近い書類なので、常体で書くのが標準です。敬体で書いても丁寧さが評価されるわけではなく、むしろ手紙のような印象になります。丁寧さは文末ではなく、根拠の示し方で伝わります。
まとめ
- 800字は「導入・問いと調べた結果・大学で研究したいこと・結び」の4段落
- もっとも字数を割くのは②。自分で調べた結果と、残った限界を書く
- 限界を書くことが、その大学で学ぶ必然性につながる
- 書類は常体(だ・である)で書き、確かめたことと仮説を文末で書き分ける
- 字数指定と設問文は、最新の募集要項で確認する
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この記事の監修者
エクシオアカデミー 教務部
監修責任者:代表講師 髙久大輝
総合型選抜・学校推薦型選抜の指導を担当する教務部が、公開前に内容を確認したうえで掲載しています。年度で変わる入試情報は断定を避け、必ず大学公式の募集要項の確認をご案内しています。