大東亜帝国の総合型選抜|5大学の併願可否と評定基準を比較
監修:エクシオアカデミー 教務部
大東亜帝国は、大東文化大学・東海大学・亜細亜大学・帝京大学・国士舘大学の5校をまとめた通称です。首都圏で年内に進学先を決めたい受験生にとって、現実的で有力な選択肢が揃っています。
ただし、この5校を「同じくらいの大学群」として一括りに対策するのは、かなり危険です。結論から言うと、5校のうち帝京大学は他大学と自由に併願できる一方、東海大学は学部・学科の併願すら認めていません。同じ「大東亜帝国の総合型選抜」でも、出願した時点で背負うものが正反対なのです。
この記事では、2027年度の各大学公式要項にもとづいて、5校を「併願できるか」「評定基準はあるか」「何で選考されるか」の3点で比較します。各大学の方式ごとの出願条件・日程・選考内容の一覧は、大学ページにまとめてあります。
まず押さえるべき5校の違い
| 大学 | 他大学との併願 | 評定基準 | 選考の中心 |
|---|---|---|---|
| 大東文化大学 | 学科×方式で決まる | 「基準を設けない」学科が多い | 学科ごとに異なる(基礎学力テスト型はマーク式の学力テストのみ) |
| 東海大学 | 不可(第一志望のみ) | 総合型はなし/公募制推薦は3.5以上 | 一次=書類、二次=課題発表と面接 |
| 亜細亜大学 | 方式によって分かれる | 学科課題型はなし/公募推薦は3.2以上 | 面接+事前課題+書類 |
| 帝京大学 | 可 | なし(要項に明記) | 基礎能力適性検査(学部ごとに方式を選択) |
| 国士舘大学 | 要項に明文なし(第一志望が条件) | なし | 小論文100点+面接100点+書類100点 |
専願と併願の違いそのものが曖昧な段階の方は、先に総合型選抜の専願と併願の違いを読んでおくと、この表の意味がはっきりします。
大東文化大学:併願できるかは「学科×方式」で決まる
大東文化大学の総合型選抜は、前期・中期・後期と、それぞれの育成型、そして基礎学力テスト型を合わせた7方式です。8学部20学科で実施しています。
この大学の設計で最も特徴的なのは、他大学と併願できるかどうかが「学科×方式」のマトリクスで決まる点です。要項には「他大学併願可否早見表」が載っており、全20学科について方式ごとに、併願可能型か専願型かが記号で示されています。
- 前期:併願可が17学科、専願が3学科
- 中期:併願可が14学科、専願が6学科
- 後期:併願可は法律学科と経営学科の2学科のみ
- 基礎学力テスト型:全20学科が併願可
- 育成型:すべて専願
つまり「大東文化の総合型は専願」も「併願できる」も、どちらも誤りです。志望学科と方式の組み合わせで確認するほかありません。
併願で年内に押さえておきたいなら、全20学科で併願可の基礎学力テスト型が本命になります。この方式は面接を行わず、当日は各教科60分のマーク式テストのみ。出願時に調査書・小論文・志望理由アンケートを提出する形です。2027年度からは3科目型(英語・国語・数学)と2科目型が選べるようになりましたが、3科目型は板橋キャンパスのみの実施です。
なお2027年度に新設された「育成型」は、事前に課題探究プログラムまたはKOUDAIBridgeプログラムを修了することが出願資格になります。KOUDAIBridgeは申込が5月11日から始まり、1人1学科しか申し込めません。年内入試の準備としてはかなり早い時期に動く必要があります。
方式ごとの出願条件と日程は大東文化大学の総合型選抜ページで確認できます。
東海大学:すべて「第一志望のみ」で貫かれている
東海大学は5校のなかで最も出願の縛りが強い大学です。総合型選抜(学科課題型・適性面接型・スポーツ音楽自己推薦型・医学部医学科)も公募制学校推薦型選抜も、出願資格の冒頭が「東海大学を第一志望とする者」で始まります。さらに要項には「志望選択は各学部・学科・専攻とも第一志望のみとします」と明記されており、学内の学部・学科を併願することもできません。
年内入試の本体は学科課題型です。医学部医学科・看護学科を除くほぼ全学部で実施し、第一次が書類審査、第二次が課題発表(プレゼンテーション)と面接という二段階選抜になっています。ここで見落としやすいのが、出願手続きが一次と二次で別々に必要な点です。一次を通過しても、二次の出願を忘れれば進めません。
課題には探究課題タイプ・探究活動報告タイプ・高大接続タイプの3タイプがあり、評定平均の要件はありません。2026年度は第一次の志願1,272名から、最終合格が743名でした。
一方の公募制学校推薦型選抜は、学習成績概評B段階以上(評定平均3.5以上)と出身学校長の推薦が必要で、選抜は小論文60分800字と面接です。総合型には評定要件がないので、ここは混同しないようにしてください。
もう一点、東海大学はキャンパスが全国に分かれています。政治経済・経営・国際・観光・情報通信の各学部は3年次から品川キャンパスに移り、農学部は2年次から阿蘇くまもと臨空キャンパスになります。4年間同じ場所で学ぶわけではないため、出願前に必ず確認してください。
学部ごとの実施範囲は東海大学の総合型選抜・公募推薦ページにまとめています。
亜細亜大学:同じ日でも「併願できる組」と「できない組」がある
亜細亜大学の年内入試は、総合型選抜6方式と公募推薦を合わせた7方式です。要項の日程一覧に、方式ごとの専願・併願可が明示されています。
最大の枠は学科課題型(205名・併願可)で、選考は面接(事前課題に関する口頭試問を含む)と事前課題、書類審査です。2026年度は志願834名に対して合格454名でした。年内入試の主戦場はここです。
注意が必要なのは11月29日です。自己推薦型(専願・72名)と公募推薦(専願・123名)は試験日が同じで、併願できません。自己推薦型は評定基準がなく活動経験を重視する方式、公募推薦は評定3.2以上と学校長推薦が必要な方式なので、自分の持ち駒がどちらに向いているかを先に決める必要があります。
一方で、経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科のホスピタリティAO入試とホスピタリティ入試は、試験日が同じでも併願できます。AO入試の二次審査を午前、ホスピタリティ入試を午後に実施しているためで、要項のQ&Aに明記されています。同じ「同日実施」でも扱いが逆になっているので、日程だけ見て諦めないでください。
なおホスピタリティ・マネジメント学科は、学科課題型と自己推薦型の対象外です。この学科を志望するなら、ホスピタリティAO入試かホスピタリティ入試を選ぶことになります。
方式ごとの募集人員と日程は亜細亜大学の総合型選抜・公募推薦ページで確認できます。
帝京大学:併願可・評定不問・全国12会場
帝京大学は、5校のなかで最も出願のハードルが低く設計されています。
- 併願可。要項に「本学の学校推薦型選抜(指定校制/医学部公募制)を除くすべての入学試験、および他大学との併願が可能です」と明記
- 評定平均の基準がない。要項に「学習成績の状況は出願基準として設けていません」と明記
- 全国12会場の試験場自由選択制(板橋・八王子・宇都宮・博多・大牟田・水戸・高崎・新潟・甲府・長野・静岡・大阪)
- Ⅰ期・Ⅱ期は試験日自由選択制で2日受験でき、高得点のほうを採用
選考の中心は基礎能力適性検査で、学部によって選べる方式が違います。経済・法・文・教育学部は課題作文方式/1科目方式/2科目方式から1つを選択、外国語学部と経済学部国際経済学科は英語必須の1科目方式か2科目方式、薬学部は3科目方式、理工学部は2科目方式です。
そして帝京大学の最大の武器は、合格者の最高点・最低点まで公開していることです。たとえば2026年度の経済学部経済学科は配点200点で合格最低点114点、文学部心理学科は配点200点で最低135点でした。「何点取れば通るか」を実データから逆算して準備できる大学は多くありません。
ただし「帝京の総合型は入りやすい」と一般化しないでください。2026年度は医学部医学科16.6倍、文学部心理学科3.8倍という一方で、経済学部国際経済学科は1.5倍でした。学部・学科による差が非常に大きい大学です。倍率の見方については総合型選抜の倍率の調べ方もあわせて確認してください。
もう一つ、奨学特待生選抜に不合格でも総合型選抜の合格者として入学が認められる場合があるという制度があります。受験戦略上かなり重要なので、要項で必ず確認しておいてください。
学部ごとの方式は帝京大学の総合型選抜・公募推薦ページにまとめています。
国士舘大学:入口は広く、期が進むほど狭くなる
国士舘大学の総合型選抜は、AO選抜(Ⅰ期〜Ⅳ期)とスポーツ・武道選抜です。AO選抜は全7学部で実施され、選抜内容は全学部共通で、小論文(600字・60分・100点)+面接(100点)+書類審査(100点)の300点満点という分かりやすい設計になっています。
出願基準がかなり広いのも特徴です。次のいずれかに該当すれば出願できます。
- 各種資格・検定を取得あるいは合格した者(資格・検定の種類、級位・段位は問わない)
- 高校在学期間に諸活動で実績がある者(生徒会等委員会、芸術文化、ボランティア、文化・スポーツクラブなど)
- 祖父母・両親・兄弟姉妹のいずれかが、学校法人国士舘が運営する学校の卒業生または在学生である者
評定平均の基準はありません。英検何級といった水準指定もないため、実質的に間口は非常に広いと言えます。
ただし、期が進むほど厳しくなります。2026年度はⅠ期2.0倍、Ⅱ期3.0倍、Ⅲ期3.9倍、Ⅳ期4.8倍でした。募集の大半はⅠ期で決まるため、「4回あるから後で受ければよい」という考え方は通用しません。
なお国士舘大学の要項は「入学試験要項」ではなく「入学者選抜要項」という名称です。検索するときに見つけにくいので注意してください。また、他大学と併願できるかどうかについては要項に明文がありません。出願資格には「本学を第一志望とする者」とあり、Q&Aで「合格した場合、入学意志があること」と定義されていますが、他大学の受験可否は書かれていないため、判断は入試課への確認が確実です。
学部ごとの募集人員は国士舘大学の総合型選抜・公募推薦ページで確認できます。
どこから出願すべきか
5校の設計を踏まえると、判断は次のように整理できます。
併願しながら年内に1つ確保したい場合、候補は帝京大学、亜細亜大学の学科課題型、大東文化大学の基礎学力テスト型です。この3つはいずれも併願可で、評定基準もありません。特に帝京大学は2日受験して高得点を採用できるため、年内の押さえとして機能させやすい設計です。
第一志望が固まっている場合、東海大学と国士舘大学が視野に入ります。どちらも第一志望であることが出願資格そのものなので、迷いがある状態で出すべき入試ではありません。逆に、覚悟が決まっているなら、専願であること自体が競争を絞ってくれます。
評定に自信がない場合、5校とも総合型選抜には評定基準を設けていない方式があります。評定が問われるのは、東海の公募制推薦(3.5以上)、亜細亜の公募推薦(3.2以上)とスポーツ・文化活動入試(2.7以上)などの推薦型です。自分の評定がどの選択肢を開くのかは、評定平均の出し方で計算方法を確認したうえで整理してください。
対策の進め方
5校に共通して有効な準備の順序は次のとおりです。
- 志望学科を1つ決める。5校とも学科によって実施方式・併願可否・選考内容が変わるため、大学単位では準備を始められません
- その学科で使える方式を全部書き出す。大学ページの方式一覧を使うと早く済みます
- 併願可否と日程の衝突を確認する。亜細亜の11月29日のように、同日実施で併願できない組み合わせがあります
- 選考の型に合わせて準備を始める。小論文中心(国士舘)、プレゼン中心(東海)、学力テスト中心(大東文化の基礎学力テスト型・帝京)で、必要な練習がまったく違います
- アドミッションポリシーと志望理由を結びつける
大学が求める人物像の読み解き方はアドミッションポリシーの調べ方と読み解き方で、小論文の書き方の基本は小論文の基本構造で解説しています。面接で併願先を聞かれたときの答え方に迷う方は、面接で併願を聞かれたらもあわせてお読みください。
出願前に必ず確認してほしいこと
この記事の内容は2027年度の各大学公式要項にもとづいていますが、募集人員・日程・出願資格・選考内容は年度によって変更されます。出願前には必ず志望校の最新の募集要項でご確認ください。
特に次の3点は、思い込みで判断すると取り返しがつきません。
- 併願できるかどうか。大東文化は学科×方式、亜細亜は方式ごとに分かれています
- 出願手続きの回数。東海の学科課題型は一次と二次で別々の出願が必要です
- 試験日の重複。同じ大学のなかでも併願できない組み合わせがあります
大東亜帝国の5校は、年内に進学先を決めたい首都圏の受験生にとって、最も現実的な選択肢が揃った大学群です。ただし「まとめて対策する」ことだけはできません。学科と方式を1つに絞り、その入試の設計に合わせて準備することが、結果的にいちばんの近道になります。
この記事の監修者
エクシオアカデミー 教務部
監修責任者:代表講師 髙久大輝
総合型選抜・学校推薦型選抜の指導を担当する教務部が、公開前に内容を確認したうえで掲載しています。年度で変わる入試情報は断定を避け、必ず大学公式の募集要項の確認をご案内しています。